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2007年の来日にあたって

  • 2007年フランク・R・アシオーン先生 再来日にあたって
    (帝京科学大学 准教授・精神科医 横山章光 )

 去年来日され、各地で様々な専門家や一般の方にレクチャーし、意見交換してくださったユタ州立大学のフランク・アシオーン教授が、10月に日本で開かれるISAZ(国際人間動物関係学会)とIAHAIO(人と動物の関係に関する国際会議)に合わせて、再来日される。この来日を生かし、短い期間ではありますが、再び日本の数か所で先生を囲んでシンポジウムを開かせていただく。

   現在のところ、

  • 10月3日:来日
  • 10月4日:山梨県
  • 10月5日:ISAZ
  • 10月8日:IAHAIO
  • 10月10日:岐阜県
  • 10月13日:宮崎県
  • 10月14日:石川県
  • 10月16日:帰国
    (詳しいスケジュールはスケジュール2007をご覧下さいませ)

     の予定です。新しい情報などを聞かせていただけるのではないかと期待しております。ぜひ、お誘い合わせのうえ、会場にお越しくださいませ。

     ご存じの方も多いとは思うが、アシオーン先生は、「動物虐待」と「人に対する暴力的行為(小児虐待、DVなどを含む)」の関係性を追い続けている、世界的第一人者である。その知見の一部は、2006年に「子どもが動物をいじめるとき:動物虐待の心理学」(ビイング・ネット・プレス社)出版によって、日本でも紹介された。
     動物虐待と対人暴力の関係性は、まだまだ全体像はつかめておらず、どうしても我々は「動物をいじめる子どもは、人間に暴力を振るうようになる」と、ただ単に考えてしまう。しかしそれは経験的な仮説であり、真実かどうかは分からないが、それ以上深く考えようとしない。深く考えようとしないから、対策も立てれない。結局、コトが起こってから「そういうことがあった」と報道されたり、見て見ないふりをすることにもなる。
     この分野では次々に新発見が相次いでいる。新発見が相次ぐごとに、ある部分の説明は強化され、ある部分の説明は破棄されていくことになる。アシオーン先生は、自ら調査すると同時に、それらの情報をすべて総合して、全体像を把握することに全精力を注いでおられる。
     今年のシンポジウムのスライドを翻訳させていただいたが、去年と同じスライドは数えるほどしかなく、次々に知見が上塗りされていっていることがよく分かり、身の引き締まる思いであった。
     新しい意見や考え方をご紹介いただくと同時に、去年のアシオーン先生来日に感化され、日本でも始まった研究によるデータをもとに、先生から様々なご示唆をいただきたい。

     

     私事になるが、去年1か月シンポジウムツアーで彼と一緒に過ごし、一緒に温泉に入り、毎日飲み、現在でも時々私的なメールをやり取りさせていただいていて、誰よりも尊敬している私だから言わせてもらう。

     このおっさんは、すごい。


    帝京科学大学アニマルサイエンス学科 准教授 横山章光



 
 
 
 
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2006年の来日

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「人の暴力行為と動物虐待の関係性とは」

  • アシオーン教授より2006年日本訪問への思い

    今回の来日によせて

動物虐待問題についての講演と討論のために、再び日本にご招待いただいたことを私は本当に光栄に思っております。我々の社会の中に存在する暴力問題との関連で、動物虐待の研究は進んでいます。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、イタリアなどでの研究では、動物虐待は、小児虐待、犯罪、家庭内暴力となんらかの関係があることが示されてきました。子どもが動物をいじめるときというのは、それが子どもの心理的ストレスを示すサインの可能性が高いのです。つまり、動物虐待についての情報を議論することは、家族を助け、優しい社会を作るために、我々にとってとても大切なことです。
 アメリカや諸外国での私の講演は、市民に対してだけでなく、小児虐待や家庭内暴力を援助している方々、そして精神医学・心理学・教育・社会学の専門家の方々にご好評をいただいてきました。
 日本に滞在する間、出来るだけたくさんの人々とお会いし、多くの意見を交換できることを切に願っております。動物虐待問題について多くのことを討論・対話しましょう。
 この問題について興味を持っていただくことに感謝し、今後ともに歩んでいくことを誓いつつ。
感謝をこめて

フランク・R・アシオーン Ph.D.

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  • アシオーン教授シンポジウム・ツアーの目的
    (帝京科学大学 助教授・精神科医 横山章光 )

動物と人間の関係についての学問は、我が国でも次第に進んできた感があります。
特にアニマル・セラピー、ペットロス、動物観、動物介在教育など、さまざまなテーマでのかなり深い研究発表が増えています。 しかし我が国ではまだ全く手付かずの研究分野があります。それは「動物虐待」です。
近年、特に青少年が関与した衝動的犯罪が次々に報道される中、常にその中では「動物虐待」が予兆としてあった、とつけたされます。主だった陰惨な事件を追うと、常に身近な動物を虐待した後、対人犯罪へとつながっている「ように見えます」。
 日本においては、驚くべきことに、動物虐待と対人暴力についての研究は皆無なのです。そのため、我々はどう介入したらいいのか、どう治療したらいいのか以前の問題として、どのぐらい動物虐待があって、それがどう犯罪に結びついていくのか、さえ分かっていない状態です。
 ところが欧米ではこの研究に関してはかなり進んでおり、きちんとしたデータからさまざまな動物虐待の全体像が見えてこようとしています。
その中で分かってきたことは、例えば、

  • 「家庭内暴力」「小児虐待」「動物虐待」は密接にリンクしている
  • ペットが虐待されている家では、その家で妻や子どもも虐待されている可能性が高い
  • 誰かがペットを虐待している家では、子どももペットを虐待している可能性が高い
  • ペットが虐待されるのではないかと気になり被虐待女性が脱出に躊躇することが多い
  • 対人暴力歴のある青少年の動物虐待歴は一般より高い
  • 殺人等対人への暴力的犯罪者(成人)の動物虐待歴は一般より高い
  • 動物虐待は、子ども自らの報告数に比べ、親のその子の見積もりは低い
  • 動物虐待歴のある青少年が将来的に対人暴力を起こす可能性は一般に比べて約5倍
  • 被虐待児へのアニマル・セラピーは、うまくやれば非常に効果がある
     

などであり、これらの知見に基づいて、欧米では現在は介入や治療、教育についての議論が深まりつつあります。
 繰り返しますが、日本においては残念ながらそれらの視点はまだ全くないため、動物虐待は必要以上に軽んじられたり怖がられたりし、次の悲惨な犯罪が防げる体制にはなっておりません。
 そんな中、今回来日されるフランク・R・アシオーン教授は、長年この問題に取り組んできて、膨大なデータから、動物虐待の全体像を見出した、この分野の第一人者であります。彼のすごいところは、すべてをデータで示し、またそれだけではなく、介入、教育、各方面のリンクなどまで細部にわたって言及しているところにあります。
 今回の訪日に併せて、分野、例えば司法、教育、精神医学、心理、獣医学、愛護、小児虐待、就学前児童など様々な分野の専門家や関わっている人たちにそれぞれ分けてシンポジウムを開き、また北海道から九州まで各地域でも開く予定です。各シンポジウムにおいては、日本におけるその地域や分野の新しいデータなども提示されていくはずです。
 これだけまとめて、ある種のキャンペーン的に行うのは、ひとつの分野だけでは到底解決できない問題であるからです。小児虐待の現場で動物虐待が見つかったらどうするか、獣医師のもとに虐待された動物がきたときに小児虐待が垣間見えたらどうするか、家庭内暴力の被害女性がペットを殺すと脅されるあまりに暴力夫から逃げられなかったらどうするか、などの問題は、様々な専門家が共同しながら関わらないととても介入することはできないのです。
 ここで海外の例をひとつご紹介しましょう。アシオーンたちの尽力により、現在こういう取り組みが始まっています。DVの家が通報されると、まずDVの専門家が関わります。そこに子どもがいると、子どもの専門家が派遣されます。さらにそこにペットがいると、ペットの専門家が派遣されます。例えば子どもが施設に、ペットも施設に引き取られていく場合、ペットの専門家はペットの写真を取り、子どもに渡します。それは、おそらくその家庭で子どもの心のよりどころだったペットと離れなければならない子どもに対して、「きみのペットは必ず大事に保護するし、いつでも会えるんだよ」というメッセージです。こういう取り組みは様々な分野が協力しなくては不可能であり、また、その根底に共通して「子どもを守る」という意識がないと決してできないのです。
今回のシンポジウム・ツアーを通して、多くの専門家の意見を聞けると思います。その中で個々がいったい何をできるか、どう連携をしていったらいいかが見出せることを期待しています。この問題は、我々自身に降りかかってくる問題であり、同時に我々ひとりひとりが考え関わっていかなければならない問題なのです。
多くの方々の積極的なご参加を心からお願い申し上げます。

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